2016年5月26日、Microsoft社のServer and Cloud Platform Teamが、大西洋横断光海底ケーブルをfacebookと共同で敷設することを発表した。
https://blogs.technet.microsoft.com/server-cloud/2016/05/26/microsoft-and-facebook-to-build-subsea-cable-across-atlantic/ image001.jpg 米国側はバージニア州バージニアビーチで、欧州側はスペインのビルバオになる。 8対のファイバーケーブルを使い、160Tb/sの伝送容量を提供する。

この発表を見て、私は以下の点でおもしろいと思った
1) 発案者はMicrosoftとfacebookであって、通信事業者が入っていない。保守運用はテレフォニカの子会社に委託するが。
2) オープンアーキテクチャを使うことで、コストダウンを図る
3) 大西洋横断光ケーブルの伝送容量は337Tb/sから約500Tb/sへと1.5倍に拡大する。

2年前、2014年8月にGoogleは太平洋横断海底ケーブル構築を発表したが、この時にはMobile International、China Telecom Global、Global Transit、KDDI、およびSingTelという5社の通信事業者との共同プロジェクトであった。
やはり、運用・帯域販売等を考えると通信事業者を含めておくことが、リスク軽減を考えるということなのであろう。

それが、今回は、Microsoftとfacebookの二社であって、通信事業者は入っていない。たぶん、自分達専用回線とするつもりであり、しかも二社だけで使い切る自信があるのでしょう。
しかも、その容量たるや160Tb/sと、現状の伝送容量の半分程度の規模になっている。それでも、使いきれると考えているわけである。
彼らが自分達のネットワークの拡大をどのように考えているのか、興味深い。

もう一つがオープンアーキテクチャ採用でコストダウンを図るとの事。
Facebookは、2011年にOpen Compute Projectを発足させ、サーバ・空調を含むデータセンター機器のオープンソース化を推進した。
同じことを海底ケーブルでもやる気なのだろうか?
海底ケーブルは、深海の圧力にも耐える筐体が必要であったり、数千kmでの給電が必要であったりと、難しいところがある。
結果、長距離ケーブルにも対応できる企業は、Nokia (旧Alcatel)、NEC、富士通の三社しかない。
その他の光伝送機器メーカもがんばってはいるようだが。

この寡占市場に、facebookはオープンアーキテクチャで風穴を開けようというわけか。 さて、どんなことを考えているのだろうか。
敷設作業は今年8月に開始し完成は2017年10月との事だが、その途中やその後で、色々な情報が出てくるだろう。 楽しみにしておこう。

最後に、時期は2011年10月と古いが、海底ケーブルの世界地図を紹介する。

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参考記事
ITプロ) MicrosoftとFacebook、大西洋横断海底ケーブル計画「MAREA」を発表
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052701529/

CNET Japan) MSとFacebook、大西洋横断海底ケーブルの敷設で提携
http://japan.cnet.com/news/service/35083303/

ロイター)マイクロソフトとフェイスブック、大西洋横断ケーブル共同敷設で合意
http://jp.reuters.com/article/microsoft-facebook-cable-idJPKCN0YH2PA

WSJ) フェイスブックとマイクロソフト、大西洋海底ケーブル敷設で提携
http://jp.wsj.com/articles/SB10183435217094733641104582091321126296512