たまに、「AIが人間を支配する」というテーマでおどろおどろしく論旨を展開している読み物・記事を見かける。
例えば、TerminatorのSkynetか。
こういう事で誰かがある種の物語を展開して話題になると、別の誰かがその発展形 を、あるいは反論を展開する。
本当のところ、何が起きるだろうか?
今回は、それを考えてみた。

ほぼ確実だと思うのは、例えば会社組織で、中間管理職が持っている情報ハブ機能 (上層部からスタッフへの情報配信・スタッフの活動・結果・意見の集約と上層部へ 配達)は、AIに代替させることになる。
既に、PCネットワークのおかげで、中間管理職の存在理由は、相当に減っているが。
バカ正直な機械として、愚直な増幅器として、忖度もできる機械として、AIはそうい う機能を持つであろう。(本当に創造的な仕事は、引き続き、人間に残るだろうが)

例えば、1万人の組織であるならば、社長〜部門長〜部長〜課長〜スタッフで4〜5層 のピラミッド構造が必要であった。
でも、情報連絡だけで考えるならば、途中にAIを介在させることで、途中の階層は大幅に削減することができる。
その時、スタッフは上層部の方針をAI経由で受け取ることになる。あるいは、自分の パフォーマンスをAI経由で上層部に報告することになる。

好意的に見るならば、それは現場と上層部の距離の短縮となる。
「AI=支配者」という構図を見たい人は、「AI画面の指示で動いているスタッフ」を見て、「AIが人間を支配している」と主張するだろう。
どちらになるかは、経営者の考え方、ステークホルダーの啓蒙の仕方、実際の運用形態で決まるのであろう。

(人間が支配欲を持ちたいと思うように) AIが支配欲を持つとは、私には思えないので、「AIが人間を支配する」ことは無いとは思う。

しかし、一人の人間が億単位の人間を支配することは、AIを使う事で可能になりつつ ある、ということは実感として想像できる。
国民の行動を街頭のカメラやセンサーあるいは体内に埋め込んだセンサーで監視し、 お金の流れも電子マネーで監視し、好ましくない状況を瞬時に抽出し、警察・軍隊を動員する (人間かもしれないし、ロボットかもしれない)。 そして、その一連の動きの制御をAIにやらせて、自動化する。
お隣の国をみれば、これが既に未来でない事も分かる。

元々のお題に戻る。

私が思うに、「AIが人間を支配する」ということは、多分、起きない。 なぜなら ば、AIには支配欲は無いから。
ただ、AIのおかげで
– 上層部と現場の距離感の短縮、一体感の醸成
– 「AIが人間を支配している」と喚くチャンスをある種の人々に与え、人々を不安に陥れる事
– かつてない規模・深さで人間を支配すること
が可能になる。
きっと、これらが同時並行で進んでいくのだろうと思う。

こういう世の中で、エンジニアは、発明家、未来学者は何をしていくのか。 考えどころである。