本日、ソフトバンクワールドで、孫正義氏の講演を聞いてきました。
話していることは既に知っている事が多いといえば、それまでだけれど、孫さんの講演は、未来社会のビジョンなのだす、ビジネスではなく。
締めの言葉も「High Tech = High Touch」、「AI革命 = 人間の幸せ」(ちょっと記憶が曖昧だが・・・) だし。
でも、彼の投資行動を見れば、その内容は十分に説得力を持つ。
今、日本の企業のトップで、自社プライベートセミナーでの講演にも関わらず、ビジョンを語る人って、どのくらい、いるのだろう?
逆に言うと、利益率が向上すれば仕事をした、と思っている経営者ばかりなのではなかろうか・・・。
ほぼ確実だと思うのは、例えば会社組織で、中間管理職が持っている情報ハブ機能 (上層部からスタッフへの情報配信・スタッフの活動・結果・意見の集約と上層部へ 配達)は、AIに代替させることになる。
既に、PCネットワークのおかげで、中間管理職の存在理由は、相当に減っているが。
バカ正直な機械として、愚直な増幅器として、忖度もできる機械として、AIはそうい う機能を持つであろう。(本当に創造的な仕事は、引き続き、人間に残るだろうが)
例えば、1万人の組織であるならば、社長〜部門長〜部長〜課長〜スタッフで4〜5層 のピラミッド構造が必要であった。
でも、情報連絡だけで考えるならば、途中にAIを介在させることで、途中の階層は大幅に削減することができる。
その時、スタッフは上層部の方針をAI経由で受け取ることになる。あるいは、自分の パフォーマンスをAI経由で上層部に報告することになる。
好意的に見るならば、それは現場と上層部の距離の短縮となる。
「AI=支配者」という構図を見たい人は、「AI画面の指示で動いているスタッフ」を見て、「AIが人間を支配している」と主張するだろう。
どちらになるかは、経営者の考え方、ステークホルダーの啓蒙の仕方、実際の運用形態で決まるのであろう。
(人間が支配欲を持ちたいと思うように) AIが支配欲を持つとは、私には思えないので、「AIが人間を支配する」ことは無いとは思う。
しかし、一人の人間が億単位の人間を支配することは、AIを使う事で可能になりつつ ある、ということは実感として想像できる。
国民の行動を街頭のカメラやセンサーあるいは体内に埋め込んだセンサーで監視し、 お金の流れも電子マネーで監視し、好ましくない状況を瞬時に抽出し、警察・軍隊を動員する (人間かもしれないし、ロボットかもしれない)。 そして、その一連の動きの制御をAIにやらせて、自動化する。
お隣の国をみれば、これが既に未来でない事も分かる。
元々のお題に戻る。
私が思うに、「AIが人間を支配する」ということは、多分、起きない。 なぜなら ば、AIには支配欲は無いから。
ただ、AIのおかげで
– 上層部と現場の距離感の短縮、一体感の醸成
– 「AIが人間を支配している」と喚くチャンスをある種の人々に与え、人々を不安に陥れる事
– かつてない規模・深さで人間を支配すること
が可能になる。
きっと、これらが同時並行で進んでいくのだろうと思う。
こういう世の中で、エンジニアは、発明家、未来学者は何をしていくのか。 考えどころである。
]]>ブームでもあり、色々な会社が「AIを使った○○」をキャッチフレーズに、新製品を 売り出している。
一方、Deep Leaningを利用した画像認識や音声認識は1〜2年前はAIの成果とされてきたが、この画像認識や音声認識を利用した機器がAIを前面に出さず、「AI活用」と いうキャッチフレーズを出すこともない。
かつてのブームの時、ある人が「”これこそが人工知能の成果”と一時、もてはやされてもじきに、”コンピュータプログラムの一つの動作”とみなされるようになる。」と も称していた。
私自身も、AIとは蜃気楼のようなものかとも考えている。 遠くにあるとはいえ、到達できそうだけれど、決して、到達できない。なぜならば、 到達した瞬間、それは、ただの「コンピュータプログラム」と化すから。 それでも、AIについて人と話す時、なんらかの定義がいる。 そこで自分なりに考えてみた。(下図参照)
– アルゴリズム作成機能 (フローチャート作成機能等)を内蔵し、かつ、そのアルゴ リズムに従ってプログラムを作り出すことができるコンピュータ
– 内蔵するアルゴリズム作成機能が、ビッグデータを元にしてプログラムを改版する能力を持つコンピュータ
実際、今、注目されている自動走行車にしても、自動車は、自動走行プログラムの大半を上位のサーバから適宜、ダウンロードされている。
上位のサーバは、各車から走行データをアップロードしてもらい、その走行データを 基にして、自動走行のプログラムを改版し、そのプログラムを自動車にダウンロード している。
すなわち、下図のようになっている。
自動車は、自動走行はしているけれど、本格的なAIは搭載していない。 これは、AIは巨大な資源 (CPU/GPU, メモリー、電力、空間)を必要としており、自動車に乗せることは経済的にも物理的にも不可能であることが起因する。今は、まだ データ集めの段階であり、データを一つの自動車に置くことは非合理的であるという ことにも、起因するのであろう。
このように考えると (私の定義からすると)、AIとはアルゴリズムマシンとした方が、より正確と考えられる。 むろん、時には、アルゴリズムマシンと計算実行マシン (コンピュータ)が合体した 機械もあるであろうが。
このような場合は、それをAIと呼ぶことは間違ってはいない。 しかし、大半の機械は、実は、AIからプログラムをダウンロードされた機械、すなわ ち、AIクライアント、もしくはAIエージェントである。
追伸
鉄腕アトムやC3POは、AIを搭載していると言っても、間違ってはいないだろう。しかし、その AIの消費電力や発散する熱は、莫大なはず。
動かしても数分で金属も溶けるのではないだろうか、今の人類の技術水準からしたら。
そう考えると、いわゆるAIが身近になるのは、まだまだ先になりそうである。
年初は「対前年比で、18%の成長率があれば4000億ドル越え」という話だったのが
(話としてはありうるが、実際は無理だろう。2018年だろうな・・・)、3月以降の成
長率を見ると、その可能性がだいぶ、増えてきたということらしい。
昨今の動きを見ていると、まぁ、こうなるのも当然だし、今後も、まだまだ、伸びる
のだろうな、と思う。
なぜ、私がそう思うのか。その根拠をいくつか述べてみたい。
1) 機能がLSI化している。
これは、20年前から起きていることであるが、機能がLSI化しているが、かつては、
抵抗とコンデンサとリレーで実現していた機能がLSIになっている。
90年代前半までは機能のLSI化の主導権はシステムベンダーが持っていたが、2000年
頃からは主導権は専業LSIベンダーが持つようになり、そういったベンダーがシステ
ムベンダーに機能LSIの提案をするようになった。バブルの時代、Start-up Vendorが
雨後の竹の子のように続々と出てきたが、専業LSIベンダも一役かったはずである。
それが今は更に発展して、TSMCのような釜専業ベンダーや、ARMのようなIP専業ベン
ダーも半導体エコシステムで大きなプレゼンスを持っている。
これが、製品レベルであれ、部品レベルであれ、新規参入を容易にしている。
ベンダーが増えれば、市場規模は拡大する。
2) 単価が上がる。
#1で述べたように、色々な機能が半導体に詰め込まれてくる。
以前だったら、複数の半導体とコンデンサ・抵抗で構成されていたような機能が、以
前だったらそれだけで一つの製品として成立したような機能が、SoCという形でパッ
ケージ化されている。
即ち、製品価値の源泉が筐体から半導体にシフトしている。
そうなれば、製品原価の大半を半導体が背負うことになり、当然、半導体の単価は上
昇する。
これは、半導体の市場規模拡大に貢献しているはずである。
3) 需要が拡大する
まずは、ロボット。家・事務所・工場・コミュニティ等のスマート化が進めば、自動
化が進展し、監視制御機器やロボットの導入が進む。
更に、ここにIoTデバイスが来る。その特性上、IoTデバイスは、センサー・アクチュ
エータ・CPU・通信機能・バッテリーのパッケージであり、理想としてはSoCになるで
あろう。
例えば、2020年に500億個のSoCが地球上にバラまかれると考えるならば、いくら単価
が安いとはいえ、半導体市場規模に与えるインパクトは大きいはずである。
次に自動車。自律走行が進展すれば、自然光・赤外線・超音波・無線等々で多くの発
信機・受信機とそれらの制御機構 (CPU)が自動車に実装されるはずである。自律飛行
をウリにしているドローンも、この需要拡大に一役買うであろう。
電気自動車の進展と共に、駆動機関の制御機構もメカニカルからロジック回路に切り
替わり、半導体の利用が増える。既に、ECU/Drive-By-Wireが始まっているが。
人工知能も、この需要拡大に一役買うはずである。人工知能の具体化にも半導体は必
須である。人工知能の普及に伴い、半導体の需要も大きくなるはずである。
4) 半導体の用途が増えている。
半導体はラジオの増幅器から始まったが、その後、電気回路をデジタル化し電気配線
をプリント版から半導体に置き換えた。
これだけでも画期的であったが、今は・・・
ふと気づくと、AC/DC変換が半導体になっている。それがインバータ。
ふと気づくと、写真フィルム・音楽テープが半導体になっている。それがSDカード
ふと気づくと、光センサーが半導体になっている。それがCCD
ふと気づくと、照明が半導体になっている。それがLED照明
ふと気づくと、加速度センサーやGPSを毎日使っている。スマフォに内蔵されてい
る。
ふと気づくと、TVがブラウン管から液晶パネルや有機ELパネルになっている。
今後も、半導体への置換えは、色々なところで起きてくるだろう。
一つ、注目しているのがIoTデバイスにおけるアクチュエータ。IoTデバイスではMEMS
が使われるのではないだろうか。
そんなこんなを考えると、半導体市場は、第二の成長期を迎えていると、私には思え
るのである。
皆さんは、ベンダー側企業、ユーザー側企業は、それぞれ、この状況をどう考えてい
るのであろうか。
だが、メーカは大変。今日作る工場の投資回収は2030年では多分、終わらない。それ
でも工場はつくらなけばならないのだから。
特に自動車メーカ。2030年の車は、今と全く違うだろう。世界的な経済発展により、
需要があるのは確かだが。車の形は今とは違っているであろう。
部品メーカーも含めて、今は悩み深き時期。
その意味では、2030年は現在なのだ。未来ではない。
そうも、考える。
デジカメ市場はスマホに破壊されたという嘘
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8956
この記事は、二つの事を対比させている。
一つは、Snapchatを運営する米国Snap社のニューヨーク証券取引所にIPO申請。
その申請書類の表紙に、
– Snap社はカメラの会社である。
– 人々がSnapchatを使うということは、人々が生活やコミュニケーションの手段を改
善する偉大な機会を私たち (Snap社) に与えてくれている。
– 私たちの製品は人々が自己表現し、瞬間を生き、世界を知り、共に楽しむことを力
づける。
とある。 (鈴木訳)
もう一つは、ニコンが2016年2月に発表し2016年6月の発売予定であったDLシリーズの
発売中止。
この記事を、この対比を読んで思った事を書いてみる。
1) Snap社は自社を「カメラメーカ」と位置付ける。
これも、サービスとハードの融合の一つか。
でも、考えてみれば、人間の衝動の根源をたどっていけば、それは「見たものを人と
シェアしたい」ということであり、その共有手段は、かつてはフィルムに焼き付ける
ことであり、今は、SNSで友人・家族に公開することである。
キャノン・ニコンもこの人間の衝動の根源に、もっと早く立ち戻ってそこからDLシ
リーズの製品としての性格・導線を再設計していれば、発売中止にはならなかったの
かもしれない。
Appleだって、自分をハードウェアメーカと定義している。端末 (スマフォ/タブレッ
ト/PC)の組み立ては外注していて、自分がやっている事は、企画とLSI/CPU設計、直
販店運営、iTune運営等々なのに。
日本人は、製造ラインを持たない企業はハードウェアメーカとは定義しないだろう
が。
でも、米欧の企業は、それでも、自分をハードウェアメーカと定義する。
そして、日本のハードメーカは欧米のハードメーカに負けている。
同じ間違いを、又、繰り返すのか。
2) CES2016でのニコン
去年のCESで元気があった日本企業は、精密機械の会社。簡単に言えば、キャノンと
ニコン。
電気メーカは、韓国・中国に追い上げられて (圧倒されて)、いまいち、元気がな
い。
一方、カメラメーカは、韓国・中国にはいないので、まだ安泰。GoPro等の新しいカ
メラメーカは出てきたが、方向が違う。
スマフォ等に市場を侵食されてはいるが、高級一眼レフという他を寄せ付けない世界
を作ったか。
精密機械は羨ましい、と思ったものだった。
でも、昨今の状況を見ると、そうではなくなったか。
3) キャノン・ニコンはソニーの二の舞か?
かつて、ソニーはその気になればiPodの商品化はできた。「街でも音楽を聴きたい」
という人間の衝動を第一にしたならば、ソニーはウォークマンを作ったろう。でも、
CD部門との競合を避けたたね、ソニーはiPodを作らなかった。その結果、ソニーは、
CD売上を減らしたし、ウォークマンで持っていた市場さえ取られた。
キャノン・ニコンは一眼レフカメラというセグメントで盤石のポジションをエンジョ
イしたが、一つの使い方・土俵・導線に固執して、すぐ横にできた新しい土俵・導線
に移ることを拒否し続けるのだろうか。
その先は、どうなるかは予想できるが。
4) サービスプロバイダ ⊃ ハードベンダーが、ついにカメラ業界にも浸透
今や、世界最大のサーバ製造業者はFacebook, Google, Amazon等々である。統計上
は、HPE, dell, Cisco等ではあるが。
Facebook等は、独自仕様のサーバを台湾で組み立てさせ、それを全量引き取ってい
る。外販しない。だから、統計上、出てこないだけである。
実質的には、サービスプロバイダーが機器ベンダーを喰っている。内蔵しつつある。
タブレットの世界でもそう。AmazonはKindle・Alexaで、Googleはアンドロイドで、
消費者のインターネットの入り口をつかんでいる。
今や、マーケットの主導権を、より強く持っているのはサービスプロバイダである。
さて、SnapはIPOで得た資金で何をするか?
日本のカメラメーカを買収する?、
それとも、台湾で一眼レフカメラ組み立て業者を育成する?
それとも、米国でポラロイドに大量発注する?
簡単には行かないなのだろうが、日本で早期退職した人が、台湾・米国企業で就職と
いうパターンもあるし、結局は、時間の問題だろう。そのストーリは、既に家電・半
導体で経験している。
いずれにせよ、キャノン・ニコンには、「これは自分の領域ではない」などと言わ
ず、人間の衝動に愚直に応える事を考えてもらって、換骨奪胎して再生を図ってもら
いたいものです。
もう、「チーズはどこに行った?」などと、自問自答している余裕もないでしょう。
この発表を見て、私は以下の点でおもしろいと思った
1) 発案者はMicrosoftとfacebookであって、通信事業者が入っていない。保守運用はテレフォニカの子会社に委託するが。
2) オープンアーキテクチャを使うことで、コストダウンを図る
3) 大西洋横断光ケーブルの伝送容量は337Tb/sから約500Tb/sへと1.5倍に拡大する。
2年前、2014年8月にGoogleは太平洋横断海底ケーブル構築を発表したが、この時にはMobile International、China Telecom Global、Global Transit、KDDI、およびSingTelという5社の通信事業者との共同プロジェクトであった。
やはり、運用・帯域販売等を考えると通信事業者を含めておくことが、リスク軽減を考えるということなのであろう。
それが、今回は、Microsoftとfacebookの二社であって、通信事業者は入っていない。たぶん、自分達専用回線とするつもりであり、しかも二社だけで使い切る自信があるのでしょう。
しかも、その容量たるや160Tb/sと、現状の伝送容量の半分程度の規模になっている。それでも、使いきれると考えているわけである。
彼らが自分達のネットワークの拡大をどのように考えているのか、興味深い。
もう一つがオープンアーキテクチャ採用でコストダウンを図るとの事。
Facebookは、2011年にOpen Compute Projectを発足させ、サーバ・空調を含むデータセンター機器のオープンソース化を推進した。
同じことを海底ケーブルでもやる気なのだろうか?
海底ケーブルは、深海の圧力にも耐える筐体が必要であったり、数千kmでの給電が必要であったりと、難しいところがある。
結果、長距離ケーブルにも対応できる企業は、Nokia (旧Alcatel)、NEC、富士通の三社しかない。
その他の光伝送機器メーカもがんばってはいるようだが。
この寡占市場に、facebookはオープンアーキテクチャで風穴を開けようというわけか。 さて、どんなことを考えているのだろうか。
敷設作業は今年8月に開始し完成は2017年10月との事だが、その途中やその後で、色々な情報が出てくるだろう。 楽しみにしておこう。
最後に、時期は2011年10月と古いが、海底ケーブルの世界地図を紹介する。
参考記事
ITプロ) MicrosoftとFacebook、大西洋横断海底ケーブル計画「MAREA」を発表
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052701529/
CNET Japan) MSとFacebook、大西洋横断海底ケーブルの敷設で提携
http://japan.cnet.com/news/service/35083303/
ロイター)マイクロソフトとフェイスブック、大西洋横断ケーブル共同敷設で合意
http://jp.reuters.com/article/microsoft-facebook-cable-idJPKCN0YH2PA
WSJ) フェイスブックとマイクロソフト、大西洋海底ケーブル敷設で提携
http://jp.wsj.com/articles/SB10183435217094733641104582091321126296512